マルプーの毛質は3タイプ。お手入れの前に「うちの子」を見分ける
マルプーはマルチーズとトイプードルのミックスです。親の2犬種は被毛の性質が正反対に近く、国際畜犬連盟(FCI)の犬種標準では、マルチーズは「波やカールのないまっすぐな絹のような長毛」、プードルは「細かく縮れた被毛(巻き毛または縄状毛)」と定められています。
そのため、同じマルプーでも毛質の個体差は大きく、獣医師監修の解説ではおおまかに次の3タイプに分かれます。
どのタイプでも、親の2犬種と同じく換毛期のないシングルコートで、抜け毛は少ない傾向があります。ただし「抜けない」わけではありません。抜けた毛は床に落ちず、まわりの毛に絡まって残ります。巻き毛寄りの子ほどこの絡まりが毛玉に育ちやすく、ブラッシングの優先度が上がります。
なお、子犬のころの毛質が一生続くとは限りません。トイプードルは成長期に毛質が変わることが知られており、マルプーも成長につれて巻き毛が強くなったり、逆にゆるくなったりすることがあります。
マルプーに必要なブラシは2本。スリッカーとコームの役割分担
トリマーが執筆・監修した複数の解説で、家庭でのブラシの使い分けは一致しています。
- スリッカーブラシ: 「く」の字に曲がった細いピンで、もつれや毛玉をほぐすメインのブラシ
- コーム(両目タイプ): スリッカーのあとに根元から通し、とかし残しがないか確認する仕上げ役。顔まわりの繊細な部分にも
スリッカーだけだと表面しかとかせていないことに気づけず、コームだけだと毛玉をほぐせません。「ほぐす+確認」の2本セットが基本形です。獣毛ブラシやピンブラシは、この2本が揃ったあとの好みの追加で十分です。
マルプーのスリッカーブラシの選び方。ソフト/ハードとサイズが肝心
トリマー執筆の情報を整理すると、家庭用スリッカーの選び方は次の3点に絞られます。
- 硬さはソフトタイプが基本: ハードタイプは毛玉処理用で、力加減を誤ると皮膚を傷つける「スリッカー負け」の恐れが指摘されています。日常ケアにはソフトタイプを選びます
- サイズは小さめ: マルプーは体の小さな犬です。手のひらに収まる小さめサイズ(例: 岡野製作所の「小」は45×90mm)のほうが、脇や内股などの細かい部位に届きます
- ピンとクッション: サビにくいステンレスピン、弾力のあるラバー台座だと長く使えます。ピン先が丸く加工されたタイプは皮膚あたりがやさしい反面、固い毛玉には力不足のこともあります
なお、ボタンひとつで抜け毛を捨てられる「掃除機能付き」や先丸樹脂ピンのブラシは、日常の抜け毛取り向けの設計です。毛玉をほぐす道具とは役割が違うため、マルプーの1本目には向きません。
毛質タイプ別、ブラシ選びとお手入れ頻度の早見表
頻度については情報源に幅があります。獣医師監修の総合情報では「できれば毎日、少なくとも2〜3日に1回」、マルプー個別の解説では「毎日」から「1〜2週に1回」までさまざまです。毛玉のできやすさは個体差が大きいので、上の表を出発点に、毛玉が増えるようなら頻度を上げてください。獣医師監修の情報では、1回は5分程度に区切って短く切り上げるのが目安です。
マルプーにおすすめのブラシ3本を比較
日本で流通している定番品の中から、価格・入手のしやすさ・仕様の公開度(素材やサイズをメーカーが公表しているか) の3点で比較し、このバランスがもっとも良かった岡野製作所のソフトスリッカーを編集部の総合1位としました。
いずれも2026年7月12日時点で販売を確認したものです。価格は変動します。
| 岡野 ソフトスリッカー(小) | 岡野 高級両目金櫛(中) | ローレンス ソフトスリッカー(S) | |
|---|---|---|---|
| 役割 | ほぐすメイン役 | 仕上げ・確認役 | ほぐすメイン役(仕上がり重視) |
| ピン・歯 | ステンレス(ソフト) | 粗目+細目の2役 | しなやかなステンレス |
| サイズ | 約45×90mm(ミニもあり) | 全長167mm | 約45×90mm(SSもあり) |
| 参考価格 | ¥1,738(公式定価) | ¥3,058(実売は安いことも) | ¥2,035〜(店舗差・品薄あり) |
老舗メーカーの定番ソフトスリッカーと、粗目・細目が1本で済む両目コーム。この2本さえそろえば、マルプーの毎日のブラッシングで困ることはまずありません。
マルプーのブラッシングのやり方。毎日5分を習慣にする手順
- 01スリッカーを鉛筆のように軽く持つ
握りしめると力が入りすぎます。ピンを皮膚に強く当てないのが大前提です。
- 02毛玉のない場所から始める
背中など嫌がりにくい場所から。皮膚から毛先へ、一定方向にやさしくとかします。
- 03毛玉は「毛先から」少しずつほぐす
根元からいきなり引くのは痛みのもと。毛玉と皮膚の間に指を入れて、皮膚を守りながらほぐします。
- 04仕上げにコームを根元から通す
引っかかりが残っていたら、その部分だけスリッカーに戻ります。耳の後ろ・脇・内股は念入りに。
- 05終わったら褒める
「ブラッシング=いいこと」の積み重ねが、明日のケアをラクにします。
毛玉ができやすいのは、耳の後ろ・脇の下・内股・首輪やハーネスが当たる場所。「こすれる場所にできる」と覚えておくと忘れません。全身をとかす時間がない日も、ここだけは指で触って確認しておくと安心です。
ブラッシングでやりがちなNG例
- NG力まかせに毛玉を引きほぐす
皮膚が引っ張られて強い痛みを与えます。ほぐれない毛玉を無理に引くのは逆効果です。
- NG目の周りにスリッカーを使う
ピン先が目を傷つける危険があります。顔まわりはコームでやさしく。
- NGハサミで毛玉を切る
毛玉は皮膚のすぐ近くにできます。皮膚ごと切ってしまう事故がトリマーから注意喚起されています。
注意毛玉の下の皮膚に赤み・ただれ・においがある場合は、ブラッシングで解決しようとせず、まず動物病院に相談してください。フェルト状になった毛玉の下では皮膚炎が起きている可能性が獣医師のコラムで指摘されています。
毛玉がひどくなってしまったら
広範囲がフェルト状に固まってしまった毛玉は、家庭でほぐせる範囲を超えています。無理をせずトリミングサロンに相談してください。追加料金はかかりますが、無理にほぐして皮膚を傷つけることを思えば安いものです。そのうえで、次からは早見表の頻度でこまめにケアするのが、結局いちばんの近道です。できてしまった毛玉のほぐし方は、マルプーの毛玉の取り方で部位別に解説しています。
